スライムさんすこしがんばる

このひまをどのように

吉野朔美さん追悼

本当はGW前半の旅行について書こうと思ったのですが、昨日はてブをつらつらと繰っていたら「吉野朔美さんが亡くなった」というニュースが飛び込んできて「えええええっ…」となったので、書きつけておきたくなりました。



初めて読んだのは高校生か中学生くらいのときだったでしょうか。母に薦められた『ぼくだけが知っている』が初見でした。余談ですけど、女性の漫画家の人が描く学級のようすってすごいですよね。志村貴子さんの『放浪息子』然り、よしながふみさんの『フラワー・オブ・ライフ』然り。アンファンテリブルな子供たちを描くのがうまいというか。一足先におとなになろうとする彼女たちからは、「男子ってなんてバカなんだろう」というテーマのほかに、「こどもってなんて恐ろしいんだろう」という光景もうっすらと並んで見えていたのかもしれないと思わせます。


『ぼくだけが知っている』もまさにそういう漫画でした。主人公の小学生らいちがクラスメートや両親との出来事を通して成長(?)していくという内容です。吉野さんの書き方のせいか、読者は読んでる間に子供と大人を行ったり来たりします。いじめっこがすごく怖く思えたり、主人公らいちがアホに見えて仕方がなくなったりします。


また、思春期一歩てまえのあやうさ―悪いことをしながら「これは悪いことなのかもしれない」とうっすらと思うような―が水底からぼうと浮かび上がってくるような描き方と、吉野さんの尖った筆致と相まって、読み進めるごとにはらはらとします。でも、『period』のようなシリアスな話ではないので、ハートフルな場面も頻出し、カタルシスをもって短編が終わることが多いところも好きでした。


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作品リストを見返すと、ぼくは『少年は荒野を目指す』以降の著作はだいたい読んでいたようです。意外にも寡作な方で、『本の雑誌』のエッセイでは映画や文学についても知識の深い話をしていて、エッセイ漫画もとても面白く上質なものでした。57歳の若さにして亡くなられたとのことで本当に惜しいなあと、一ファンとしてネットの片隅でそう思います。


ご冥福をお祈りいたします。